デパートで見つけた「松風」京都の松風ではなく、熊本県菊池市、正観寺 丸宝の「松風」。
包みを開けるとびっくりするほど小さなお菓子です、早速母とお味見。パリッと香ばしく、どこかで食べたことがあるような懐かしさを感じます。
厚さ1.2ミリから1.5ミリの日本一薄い和菓子、起源は室町時代、京都から伝わり熊本の地で伝統技法(手作り!)を守りながら今日まで作られている、とあります。
素材は小麦粉、甜菜糖、地卵、芥子の実、味も素朴で美味しい。
表紙からいかにも古い、司馬遼太郎著「歴史を紀行する」。本棚のどこかに長く眠っていたのだろうか、おじさんが読み終え机の上に置いていたのを手に取ってみると
すごく面白い!風土と人物とのかかわり合いなど、各地を訪問した歴史紀行とありますが難しい内容ではなく、
長州、薩摩、会津、加賀・・それぞれの土地の個性や成り立ちまで次々と興味深い話しが続きます。
そして京都編の中に「松風」が出てきます。
お店の名前こそありませんが、他の著書にも出てくる亀屋陸奥「松風」と思われます。
「京都本願寺の宗務所でお菓子の御用をききまわっている青年に出会って仲良くなり、(長いので省略しています)
いつごろから菓子を売りにきているの、つい失礼なことを聞いたら
天正時代からどす、といわれたのには息がとまる思いがした。三百数十年前、戦国のたけなわのことである」
青年の先祖のことが書かれていますが、「松風の名前は法主顕如から賜ったもの」京都ならではの歴史の重みを感じます。
デパートの地下で偶然「松風」見つけた、となったわけですが、ずいぶん軽いノリで、しかも熊本の「松風」のことは全く知らず・・・失礼をいたしました。
歴史あるお菓子で思わぬ楽しい体験。母は素朴な味と食べやすさがとても気に入って、知人が来る予定があるので買っておきたいと大満足。